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角田 淳弥; 柴田 大受; 藤田 一郎; 國本 英治; 山地 雅俊; 衛藤 基邦*; 小西 隆志; 沢 和弘
no journal, ,
高温のヘリウムガスを炉外に取り出すことができ、固有の安全性を有する超高温ガス炉(VHTR)は、第4世代原子力システムの有力な候補である。VHTRの炉内構造物には黒鉛が用いられるため、空気浸入事故においては黒鉛が十分な耐酸化性を有していることが重要である。HTTRで用いられているIG-110黒鉛と、新たなIG-430黒鉛は、高い強度と耐酸化性を有しており、VHTRの炉内黒鉛構造物に用いる有力な候補材である。X線CT法は、黒鉛の微細構造(結晶粒,気孔)を測定することができるため、黒鉛の酸化による微細構造の変化を調べることで、酸化損傷を評価することが可能である。本研究では、IG-110黒鉛及びIG-430黒鉛の酸化速度を測定し、酸化後の黒鉛についてX線CT法を用いて黒鉛の微細構造を観察するとともに、ヤング率,熱膨張係数データを取得した。その結果、IG-430黒鉛がより優れた耐酸化性を有することを示すとともに、X線CT法が黒鉛の材料特性の評価に有効であり今後照射特性を評価するうえで有効であることを明らかにした。
角田 淳弥; 柴田 大受; 藤田 一郎; 山地 雅俊; 衛藤 基邦*; 小西 隆志; 沢 和弘
no journal, ,
超高温ガス炉(VHTR)は、高温のヘリウムガスを炉外に取り出すことができ、固有の安全性を有しており、第4世代原子力システムの有力な候補である。VHTRの制御棒要素には優れた耐熱性及び安定性が要求されるため、炭素繊維強化炭素複合材料(C/C複合材)は、金属材料に代わる候補材料である。しかし、C/C複合材製の制御棒は、原子炉の運転時に1次冷却材ヘリウムガス中の極微量の不純物により徐々に酸化の影響を受け、また、空気侵入事故には短時間で酸化するため、C/C複合材の材料特性に対する酸化効果を評価することが重要である。本研究では、2次元C/C複合材であるCX-270G(東洋炭素製)を対象とし、引張強度,曲げ強度,層間せん断強度及びヤング率に及ぼす酸化の影響を評価した。その結果、酸化によるCX-270Gの材料特性の変化は、酸化による重量減少率を用いて指数関数的に表せることを明らかとした。また、CX-270Gの取得したデータを用いてVHTR制御棒構造の応力解析を実施した結果、発生する熱応力の最大値は材料強度より十分小さく、強度の観点からC/C複合材製の制御棒の成立性に見通しを得た。
國本 英治; 小西 隆志; 衛藤 基邦*; 藤田 一郎; 柴田 大受; 沢 和弘; 加藤 雄大*
no journal, ,
IG-110黒鉛は微粒等方性で高純度の原子力用黒鉛であり、HTTR(日本)やHTR-10(中国)などの炉内構造物に使用されている。日本では高温ガス炉黒鉛構造物の規格原案が策定され、VHTRの候補材としてIG-110の各種物性や照射挙動が示されている。しかし、実用炉の黒鉛構造物はHTTRよりも厳しい条件で使用されるため、重照射領域における黒鉛の照射挙動を明らかにする必要がある。規格原案では合理的な内・外挿方法によってIG-110黒鉛の照射挙動を説明しているが、実際に照射試験を行うことでその方法の妥当性を確認し、さらに内外挿方法の精度を向上させる必要がある。本研究では、規格原案に基づき高温ガス炉黒鉛構造物の設計を行ううえで必要となる、IG-110黒鉛の設計用データの拡張計画について示す。さらに、次期の原子力用黒鉛として有望な高性能IG-430黒鉛について、その特性を示す。
國本 英治; 小西 隆志; 衛藤 基邦*; 角田 淳弥; 柴田 大受; 沢 和弘; 黒田 雅俊*; 加藤 雄大*
no journal, ,
黒鉛の強度は、かさ密度や電気抵抗率等の特性と比較して試験片間のばらつきが大きいため、より多くの試験片を用いて評価する必要がある。現在IG-110黒鉛とIG-430黒鉛の高温・重照射試験を実施する計画であるが、照射キャプセルの容積には限りがあるため、装荷する試験片をできるだけ小さくする必要がある。本研究では、微粒等方性黒鉛であるIG-110黒鉛とIG-430黒鉛の照射試験を実施するにあたり、圧縮試験片を小型化することによる妥当性を評価した。その結果、ASTMで推奨されている圧縮試験片の寸法よりも小さい試験片を用いた場合でも、同等な圧縮強さを得ることができることが明らかとなった。微粒等方性黒鉛は、一般的に物理特性のばらつきが小さいが、本研究においても微粒等方性黒鉛の圧縮強さは、予想通りばらつきが小さいことを確認した。これは、高温ガス炉の材料として、設計上の安全裕度を高くできることを示している。